2020年を振り返ると、やはりコロナによる想像もしなかった社会の大きな変化について触れずにはいられません。
今なお世界中の社会の様々なところで影響を及ぼしていますが、例に漏れずお花業界にも大きな影響がありました。
私たち、WABARAにとって、昨年までは卸販売が主流でした。
2017年に現在の場所に農園を移転した大きな理由として、直接お客様にお花を届けていきたい、またわばらの素朴な姿を見てもらえるように、農園自体をたのしめるものにしたい、という思いがありました。
しかしながら、今までの仕事の流れの中で、卸販売を主流とした体制を大きく脱却することは難しいまま続いていました。
そんな中、起こった今年のコロナ。
緊急事態宣言が発令され、ステイホームが合言葉になった4月。
せめておうちの中にお花を飾りたいと思われる方が増えたのか、今まで想像しなかったご注文を頂戴しました。
そこから5月の母の日と繋がり、ご自宅用のお花を家族や知人に贈られる方が増えました。
今までずっと、お花を飾った方が、お花があることに幸せを感じ、それを伝えるべく贈り物にしたり、ご自身の特別な日にお花をご購入いただくという流れを作りたいと思っていました。
もちろん一部の方はこのようなことを以前からされていたと思います。
でも今まで少し気になっていたけど、まだ実行されてなかった方にとっては、奇しくもこのタイミングが、行動を起こすきっかけになったと感じています。
まさにそれが結果として現れました。
本来であれば、結婚式や歓送迎、様々なことで使われたであろうお花たち。
関連する業界も含めて、その損失を想像すると喜ぶことはできません。
ただ、ずっとご家庭にお花を飾っていただくという行為を文化として改めて育みたいと思っていた私たちお花業界にとっては、今年は一つのターニングポイントであると思います。
WABARAにとっては少なくともそうでした。
僕はずっと、花の可愛さについて考えてきました。
花の可愛さ、美しさとはなんなのでしょうか。
あのように、大人も子供も無条件に心をひらく花ってなんなのでしょうか。
わばらの一つの答えは、花が花であることだと思っています。
どういう存在かというのではなく、ただ自然物として違和感のないこと。
道端に咲く草花のように、時に気づかれないほどに風景に一体化するほどに楚々としていること。
何気なく、なんとなく、でもそこには確固たる意思があって、はかなく、強く、そして潔く咲く姿。
そういう姿に心が振れ、時にあるべき心持ちに立ち戻れるのではないかと思っています。
他方、花の生産とはなんなのでしょうか。
僕たちの基本的な形として、お花の量をそれなりに採らないといけないというのがあります。
そうするために、花が次々にさく環境を整えるのですが、そこにはどうしてもこちらの意思が入るため、花の純粋な意思だけでななくなります。
今年のこのコロナを経て、お花の本来あるべき役割と力を改めて強く感じました。
だからこそ、僕たちはより花自体の意思を尊重し、花づくりに向き合わないといけないと感じています。
時に生産性と相反することだと感じています。
でもわばらとしては、やっぱりこの方向性に進みたいと思います。
そのために様々方法を思案してきました。
2021年は、今年感じたこの思いを大切にし、より花そのものの意思を尊重できる体制へと変化させていきたいと思っています。
その上で、2021年のわばらは、より直感的に、直接的にばらの様々な魅力を感じていただけることに注力していきます。
飾る、育てる、食べる、香る・・・。
Rosie〜おへやで育てるばら〜のさらなる展開。
わばら直売所の展開。
食べるばらの新たな展開。
香りやエッセンスの加工品への展開。
そしてそれ以外にも。
1月末には、ホームページがリニューアルします。
本質的で、純度を高く保ちながら、新しく楽しい体験をしていただけるように考えていきます。
みなさま本年も本当にお世話になりました。
また来年もどうぞよろしくお願いいたします。
2021年、世界の安寧を祈念して。
WABARA
國枝健一